妄想夜話 -或いは此れも幸せな日常-

日々の暇に思いついたお話。或いは杉田さんとピンキー達とのあれこれ。
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風邪をひいたら(6) <Kanon・風邪ひきショートSS 香里(+北川)編>
 風邪をひいている時、お見舞いに来てもらえるのは本当に嬉しい。
 来てくれたのが自分の好きなひとだったら、それは尚更のこと。

 好きな人が自分の心配をしてくれている。ただそれだけで、元気になれるから。


     ◇       ◇       ◇


 遠くから、足音が聞こえてくる。
 誰かの足音が、微かに、それでいてハッキリと、聞こえてくる。

「……?」

 風邪でうまく働かない頭を何とか回転させる。
 どうやら、誰かが水瀬家にやってきたらしい。―――珍しいことに。

 この家は来るものを拒まないようなところがあるけれど、それでも、決して人の訪れが多い家ではないのだ。だから、誰かが訪れるのは稀なことだ。

 それはさておき。

 やがてその足音は、徐々にハッキリと聞こえるようになってきた。
 そして足音は、祐一の部屋の前で止まり、

「おーっす、相沢、生きてるか?」
「相沢君、お見舞いに来てあげたわよ」

 ―――祐一は、思わず絶句した。

「何だ、本当に具合悪そうだな。俺はてっきり仮病だろうって思ってたんだけどな」
「何言ってるのよ。名雪も、相沢君が風邪で寝込んでるって言ってたじゃない」
「そりゃそうだけど……水瀬って、相沢を庇うような所があるからなぁ」
「まあね。でも、あたしは栞からも相沢君の病状を聞いてたから……」

 いつものノリで畳み掛けるようにに喋る2人の様子を見て、祐一は、眩暈のする頭を押さえた。ただでさえ熱でくらくらする頭が、今は余計に痛むような気がする。

「ふーん、そうなのか。ところで相沢、具合はどうだ?」
「……頭が痛い」

 違う意味で。

「まだ熱があるのかしら?」

 言って、香里が祐一の額に手を当てた。
 ―――ひんやりとした香里の手の感触に、祐一は思わず、ベッドの上で後ずさる。

「……どうしたのよ相沢君?」
「いや、別に……。香里の手って、冷たいんだな」

 熱に浮かされたように、祐一は呟いた。

「相沢くんが熱いのよ。まだ熱があるみたいね?」
「手が冷たい人は、心が温かいらしいな」
「……何言ってるの、相沢君?」

 それには答えずに、祐一は香里の手を取った。

「香里。ありがとう、わざわざ。香里ってこんなに優しかったんだな」

 瞬間、香里の顔が朱に染まる。

「ち、ちょっとやめてよ、相沢君!……って、何であたしの手を握るのよっ!」
「―――モテモテだな、美坂」
「北川君も、茶化さないでよっ!」

 面白そうに眺める北川に、香里が怒鳴る。
 祐一の手を慌てて振り解くと、香里は盛大に嘆息した。

「はあ……。まったく、どうしたのよ相沢君は?」
「……ごめん。いや、何となく」
「まったく、もう……」

 もう一度、溜め息。

「まあいいわ。相沢君も熱で意識が朦朧としてるみたいだし」
「相沢の場合は確信犯だと思うぞ?」
「北川君は余計なことを言わないで」

 あくまでも茶化そうとする北川に対して、香里は牽制するように睨んだ。
 冷や汗を流しながら、ははは、と北川が乾いた笑い声を上げる。

「それじゃあ相沢、俺たちは帰るからな。早く風邪治せよ」

 軽く手をかざすと、北川がドアを開けた。

「あ、北川くん、先に降りててくれない? あたし、名雪に声掛けてから行くから」
「おう。じゃ、先に下で待ってるぞ」

 言って、ドアを閉める。
 ドアが完全に閉まると、香里は大きく溜め息を吐いた。キッと、祐一を睨む。

 視線の先には、可笑しそうに笑う祐一。

「相沢君。北川君の前でやめてよね、ああいうの」
「別にいいじゃないか。減るものでもないし」

 傍らに立つ香里を左手で抱き寄せて、祐一が香里にキスをする。

「いっそ、北川にも教えてやればいいんだ。俺たちはこういう関係なんだ、ってさ」
「……バカね。そんなこと言えるわけないじゃない」

 恥ずかしそうに香里は呟いた。左手で口元を押さえて、そのままドアの方まで歩いていく。
 その後姿に向かって、祐一が声を掛けた。

「今度は1人で来いよ、香里。名雪も秋子さんもいない時に、さ」
「……そうね。でも」

 頬をほんのりと赤く染めたまま、香里は振り向いた。




「……その時までには、絶対に風邪は治しておいてよね」 




Kanon 美坂香里(+北川潤)SS
| SS(二次創作) | 00:31 | comments(0) | trackbacks(0) | ↑PAGE TOP
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